ロバート・ピロッシュがハリウッドへ挑む気持ちを綴った手紙

ロバート・ピロシュ

ロバートピロッシュは脚本・監督を手掛けるアメリカの映画監督。1949年『戦場』でアカデミー賞受賞、ゴールデングローブ賞受賞し、その後も『王家の谷』や『空撃隊』などコンバット映画で高い評価を得ている映画監督。

<<手掛ける映画作品>>
ミサイル空爆戦隊 (1963)脚本  
突撃隊 (1961)原作/脚本  
王家の谷 (1954)監督/脚本  
二世部隊 (1951)監督  
戦場 (1949)脚本  
ダニー・ケイの新兵さん (1944)脚本  
奥様は魔女 (1942)脚本 
マルクス一番乗り (1937)

 

ロバートピロッシュの気持ちが表れた素敵な手紙

ロバートピロッシュは、ニューヨークの広告会社でコピーライターとして働いたあと、1934年、脚本家になる夢とともにハリウッドへと向かいました。下記のものは、彼がすべてのディレクター、プロデューサー、役員たちに送ったカバーレターの記録です。ピロッシュは1949年にアカデミー賞を受賞しました。

 

Robert-Pirosh
ロバートピロッシュ

Dear Sir

I like words. I like fat buttery words, such as ooze, turpitude, glutinous, toady. I like solemn, angular, creaky words, such as straitlaced, cantankerous, pecunious, valedictory. I like spurious, black-is-white words, such as mortician, liquidate, tonsorial, demi-monde.

I like suave “V” words, such as Svengali, svelte, bravura, verve. I like crunchy, brittle, crackly words, such as splinter, grapple, jostle, crusty. I like sullen, crabbed, scowling words, such as skulk, glower, scabby, churl.

I like Oh-Heavens, my-gracious, land’s-sake words, such as tricksy, tucker, genteel, horrid. I like elegant, flowery words, such as estivate, peregrinate, elysium, halcyon. I like wormy, squirmy, mealy words, such as crawl, blubber, squeal, drip. I like sniggly, chuckling words, such as cowlick, gurgle, bubble and burp.

私は言葉が好きです。やわらかでなめらかな言葉が好きです、流れるような、何かとても重みのあるような。私は厳粛で角ばったような古風な言葉が好きです、厳格で、怒りっぽい、お金に厳しい、別れの時などのように。私は不確かな言葉も白黒はっきりした言葉もすきです、葬儀やさんのように、すべてのことを清算するような、理髪師や売春婦のような。

私は華やかなVの言葉が好きです、スベンガルのようなほっそりとして華麗な演技と力強さがあるように。私は新鮮で少しこわれやすいようで音を立てるような言葉が好きです、何かの破片や、取っ組み合いのような、つきあたるような、何か固いような。私は暗くて読みづらい言葉も好きです、隠れ回っているようで何かを睨むように、何かがかさぶたができているような、礼儀がなっていないような。

私は楽園で優雅な広大な土地のような言葉が好きです、何かイタズラ好きで、だけどすごく上品のような。私はお花のように華麗な言葉も好きです、夏を旅をしながら転々としているような極楽で平和な。私は卑屈で当惑するような言葉が好きです。何かに這いつくばり、泣きわめいたり、不満で感情をいっぱいにするような。私は心地いいような言葉が好きです、逆毛が立つような喉を鳴らすような泡立っていて赤ん坊がげっぷをするような。

I like the word screenwriter better than copywriter, so I decided to quit my job in a New York advertising agency and try my luck in Hollywood, but before taking the plunge I went to Europe for a year of study, contemplation and horsing around.

私は脚本家という言葉がコピーライターよりも好きです。なのでニューヨークでの広告代理店の仕事をやめて、運試しにハリウッドにいくことに決めました。ですがその前に1年の間勉強してじっくり考えるためにヨーロッパに行きました。

I have just returned and I still like words.

そして戻ってきた今も私は言葉が好きです。

May I have a few with you?

少しお話してもよろしいですか?

Robert Pirosh
ロバート・ピロッシュ